第12話

昔貧しい絵描きがいた。

妻を故郷に残して旅に出、三年の間苦労して多くの金を得た。

いよいよ、故郷に帰ろうとしたところ、

途中で、多くの僧に供養する衆僧供養の大法会の行われているのを見た。

彼は大いに喜び、「わたしはまだ福の種をまいたことがない。いまこの福の種をまく田地に会って、

どうしてこのまま見過ごすことができよう。」と、

惜しげもなく、その多くの金を投げ出して、供養し終えて家に帰った。

空手で帰った夫を見た妻は、大いに怒ってなじり問いつめたが、夫は答えた。

「わたしは貴い努力によって得た財物をつまらなく費やしたのではない。

わたしはいままでいままで福の種を植えることを知らないで過ごしてきたが、

福の種をまく田地というべき供養の機会を見て信仰心が起き、

もの惜しみの心を捨てて施した
のである。

まことの富とは財物ではなく、心であることを知ったから。」

多くの人々もこれを聞いて心をうたれた。

それ以来、彼の信用は高まり、絵描き夫婦はこれによって、大きな富を得るようになった。



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参考資料 仏教聖典

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