第四話
さとりを得ようと思うものは、欲の火を去らなければならない。 干し草を背に負う者が野犬を見てさけるように、 さとりの道を求める者は、必ずこの欲の火から遠ざからなければならない。 美しい色を見、それに心を奪われることを恐れて眼をくり抜こうとする者は愚かである。 心が主であるから、よこしまな心を断てば、従者である眼の思いは直ちにやむ。 道を求めて進んでゆくことは苦しい。 しかし、道を求める心のないことは、さらに苦しい。 この世に生まれ、老い、病んで、死ぬ。 その苦しみには限りがない。 道を求めてゆくことは、牛が重荷を負って深い泥の中を行くときに、 疲れてもわき目もふらずに進み、泥をはなれてはじめて一息つくのと同じでなければならない。 欲の泥はさらに深いが、心を正しくして道を求めてゆけば、 泥を離れて苦しみはうせるであろう。